研修プログラムは会社にとって投資か?コストか?ただのコストにしないためには
皆さま、こんにちは!
人工知能、機械学習、ロボット、ビッグデータ、クラウドサービス、ブロックチェーン、IoT、サイバーセキュリティなど、技術の急激な進歩によって私たちの働き方や必要とされるスキルは日々変化しています。
このような時代の中で、仕事をする上での「リスキル」(reskill:新しい技術を身につける、時代のニーズに合うように再教育すること)が必要となることは言うまでもありません。
当記事では、リスキルの定義から、促進方法までを詳しく見ていくので、ぜひ参考にしてみてください。
UMUの記事『研修プログラムの作り方を徹底解説!必要な4つのフローを説明』では、研修プログラム作成のフローや、プログラムの具体例などを解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
ビジネスで使われる「リスキル」とは?
ビジネスで使われる「リスキル(Reskill )」とは、企業が社員にスキルを学ばせたり学び直させたりする意味です。
リスキルは、「リスキング(Risking)」ともいわれています。
具体的な内容や目的は以下などです。
- 社員に新しいスキルを身に付つけさせる
- 社員にスキルを学び直させる
- 社員に新たな価値やサービスの創出させ生産性を高める
- 社員の市場価値の向上を高める
経済産業省の資料では、以下のように定義づけされています。
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること |
後述しますが、リスキルはDX(デジタルトランスフォーメーション)時代の人材戦略として注目されています。
ここでは「リスキル」という言葉が世界中で認知されたきっかけや、日本でのとらえ方などを解説しましょう。
リスキルが世界で認知されたきっかけ?リスキル革命
リスキルが世界で認知されたきっかけは、世界経済フォーラム年次総会2020で「リスキリング革命」が提唱されたためです。
リスキング革命とは、第4次産業革命に伴う急速な有効スキルの変化への戦略です。
2030年までに世界の10億人に、より良いスキルや仕事、教育の提供を目指すとしています。
創設政府はブラジル・フランス・インド・パキスタン・ロシア連邦・アラブ首長国連邦・米国。
またビジネスパートナーとして、複数のグローバル企業が参画しています。
日本におけるリスキル
日本におけるリスキルはどのようの展開されているのでしょうか。日本では、経済産業省が「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を展開。
経済産業省では、この認定制度について以下のように概要を説明いています。
「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」は、IT・データを中心とした将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野において、社会人が高度な専門性を身に付けてキャリアアップを図る、専門的・実践的な教育訓練講座を経済産業大臣が認定する制度です。 ※引用元:経済産業省公式HP |
さらに厚生労働省は「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」という制度を設けています。
経済産業大臣の認定した講座で、厚生労働省の基準を満たし指定を受けた講座について給付金や助成金を受けられる制度です。
リスキリングと「リカレント教育」「生涯学習」の違いとは
リスキリング(リスキル)は「リカレント教育」「生涯学習」と混同され、ビジネスにおけるスキルの学び直しと誤解されがちです。
リスキリングと「リカレント教育」「生涯学習」は、異なる概念をもっています。
以下は、経済産業省がリスキリングの概念としているものです。
■リスキリングは単なる「学び直し」ではない 昨今の「学び」への注目のなかには、個人が関心に基づいて「さまざまな」ことを学ぶこと全体をよしとする言説が多いが、リスキリングは「これからも職業で価値創出し続けるために」「必要なスキル」を学ぶ、という点が強調される |
上記を踏まえ、ここでは「リカレント教育」と「生涯学習」の違いを解説します。
リスキリング(リスキル)とリカレント教育の違い
リカレント教育とはスキルを身に付けるために職を離れて学び直し、改めて職につくサイクルを回し続けることです。
新しいスキルを身につけるために、職を離れることがリスキリングとの大きな違いといえます。
日本では働き方改革の推進やライフスタイルの多様化などの影響で、転職が当たり前の時代です。
学校を卒業し就職した後も新たなスキルを身に付けるために、職を離れ学び直す社会人も珍しくありません。
リカレント教育とは
- 「新しいスキルを得るために職を離れる」のが前提
- 職を離れたうえで「新しいスキルを学び再就職するサイクル」のこと
- 自分に合った柔軟な働き方を実現できる
リスキングは「これからも職業で価値創出し続けるために必要なスキル」を学ぶものです。職を離れて学ぶ、というサイクルではありません。
リスキリング(リスキル)と生涯学習の違い
生涯学習とは生涯におけるすべての学びを意味する言葉です。
リスキリングは職業に必要なスキルに限定されているので、生涯学習とは目的が異なります。
生涯学習は、人生すべてにおける学習なので、社会人として必要になる会社や職業で役立つスキルだけではありません。
スポーツや趣味など、自分が豊かな生活を送るためのすべての学びが生涯学習です。
リスキングは企業がビジネスのために学ばせる、生涯学習は個人が自分のために学ぶという目的の違いがあります。
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企業がリスキルを必要とする目的は、以下の3つ理由が挙げられます。
- 変化の時代に対応するDX人材の育成
- 社員に投資して市場価値を高める
- コア年齢層の活性化
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「ITの浸透により、人々の生活を良い方向に変化させる」という意味です。
今まで当たり前だった業務や手続きが、自動化・オンライン化されています。
またビジネス環境が目まぐるしく変化するということは、顧客のニーズも変わっていくでしょう。
また、企業にとって投資家の目も無視できません。
目まぐるしく変化する環境でも能力を発揮できるように、企業ではリスキルによって社員を学び直させる必要があるのです。
ここでは、それぞれの理由について解説します。
変化の時代に対応するDX人材の育成
社員の気づきや学びの環境をつくることで、スキルアップやマインドチェンジを促進させることが必要です。
環境づくりの推進役として「DX人材」といわれる役割の育成が急がれます。
DX人材は、企業が変化の時代に対応するための推進役といえる人材ですが、DX人材は外部からの確保は簡単ではないので、既存の社員へリスキルを促すほうが効率的です。
また、リスキルは一部の専門分野の社員だけが必要というものではなく、すべての社員に必要です。
スキルを身に付けさせることで、ミスマッチのない適材適所への配属の目安にもできます。
社員に投資して市場価値を高める
リスキルが必要なのは、社員に投資して人的資本として価値を高めるためです。
社員を労働力やコストとしか考えていない企業も多いので、社員の教育にお金をかけていない企業も少なくありません。
リスキルによって社員の価値が高まれば、企業の市場価値を高められる可能性もあります。
つまり、社員がリスキルによりスキルを身に付ければ、生産性が高まり企業の資産となるという考えです。
当然リスキルなどの社員教育や環境づくりにはコストがかかりますが、社員のスキルが変化の時代に対応していれば、企業の市場価値は高まりリーターンも見込めるのです。
コア年齢層の活性化
コア年齢層の活性化のためにもリスキルは重要です。
前述では、企業では社員教育に資本投資されていないケースが多くあると紹介しました。
特に40〜50代の中堅層以降の社員は自主的な学びにゆだねられている傾向があります。
家庭をもち教育費など出費が多い世代なので、自主的にお金や時間をかけられない年齢層といえます。
中堅層社員に十分な学びを企業が与えないことは、企業の生産性を低下させる原因になりかねません。
リスキルによって中堅層以降の社員にスキルの習得を促せば、企業の業績や価値の低減を防せぐことにつながるのです。
既存社員へのリスキルはもちろんのこと、新人研修においても効率の良い研修で多くのスキル身につけさせてあげたいとお考えではないでしょうか?UMUの記事『ラーニングテクノロジーを組み合わせたブレンド化の研修プログラムをリリース! 第一弾 【KEC様】』では、関西を中心に社員研修や組織開発、コンサルティングに長年の実績をお持ちのケイ・イー・シー株式会社様がお届けするUMU化研修プログラム【新入社員12週間フォローアッププログラム】を紹介しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
リスキリング研修を成功させるための2つのポイント
リスキリング研修を成功させるための2つのポイントは、以下の通りです。
- 個々のやり方にとらわれないスキル取得を目的にする
- 新しいスキルへのアップデートを目的にする
リスキリング研修を成功させる目的は、変化の時代に対応できる社員を育成するためです。
変化に対応するには、今までのスキルや知識ではなく、新しいことを身に付ける必要があるので、既存の社員に学び直させるのは採用コストの削減だけでなく、組織文化の継承につながるのもメリットです。
2つのポイントを詳しく見ていきましょう。
個々のやり方にとらわれないスキル取得を目的にする
社員それぞれのキャリアや仕事のやり方に合わせた研修ではなく、時代に合ったスキル取得を目的にするのがポイントです。
世界では「第4次産業革命」という革新的な変化が進んでいます。
個人にとらわれることなく、変化に対応するためのスキルを得ることが重要です。
AIの導入により仕事のやり方が目まぐるしく変化しているため、今までのやり方に執着してしまうと、その人材は仕事を失ってしまうでしょう。
また、スキルのある新たな人材を採用するのは簡単です。
しかし、自社の社員に効果的な研修を受けさせることで、組織文化の継承につながるメリットもあります。
新しいスキルへのアップデートを目的にする
古いスキルや知識を忘れて、新しいスキルや知識へのアップデートすることもリスキリング研修の目的です。
世界では「第4次産業革命」という革新的な変化が目まぐるしいスピードで進んでいます。
古いスキルや知識では、応用も効かないのが現実です。
IoTでさまざまなモノがインターネットに接続されいます。
AIの導入などでも仕事のやり方が大きく変化し、これからも変化は続いていくでしょう。
変化するのは自社だけではないので、社会全体の変化に対応するためにも、新しいスキルへのアップデートが急務といえます。
リスキルを促進するために企業がやるべき2つのこと
リスキルを促進するために企業がやるべき2つのことは、以下の通りです。
- 気づきを促す環境づくり
- リスキリング研修の効果を測定する
新入社員ならば、いわれた通りに教えられたことを受け入れるかもしれませんが、ある程度の実績や経験を積んだ社員には受け入れられないケースもあります。
社員に「気づき」を促す環境づくりが重要です。
またリスキル研修の効果を把握できれば、次の研修につなげることもできます。
ここでは、それぞれについて解説しましょう。
気づきを促す環境づくり
社員に新しいスキルへの学びを押し付けては、社員の意欲が低下し効果を期待できません。
なぜ新しいスキルを学ぶ必要があるのかを具体的に伝えるなど、気づきを促す環境づくりが重要です。
例えば以下のように進めます。
- 企業の状況と今後どのように変わっていくのかを伝える
- 社員それぞれの目指す働き方を言語化する
- 会社の伝えたいこと、個人目指す働き方を重ね合わせる
リスキルがなぜ重要なのかを、個人の働き方として考えてもらえるように促すことが必要です。
リスキリング研修の効果を測定する
リスキリング研修を開催したなら、研修の効果測定も実施しましょう。
研修の効果を知ることで、次の研修の改善点や事例づくりに活かせます。
また社員それぞれのスキルを把握しておけば、人事においても参考にできるでしょう。
具体的な効果測定の方法は、以下などです。
- リスキリング研修前と研修後の比較
- リスキリング研修を受講した社員と受講していな社員の比較
研修後は、スキルの理解度を調べるには研修直後だけでなく定期的な調査が必要です。
一定の期間を設けたうえで「スキルを正しく理解しているか」「職場で活用できてのいるか」など調査しましょう。
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リスキル(リスキリング)について、企業におけるリスキルが必要な理由や研修を成功させるポイントなどを中心に解説しました。
リスキルは「第4次産業革命」に伴う急速な有効スキルの変化に対応するためのものです。
新たなスキルや知識の習得により社員の価値が高まれば、企業の市場評価も高められるでしょう。
ただ、リスキル研修を行うにしても「どう進めるべきかわからない」という悩みもあるでしょう。
UMUでは効果的なリスキル研修を提案できるので、ぜひご相談ください。
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