信頼とリーダーシップ
本日はATDブログから「経済は競争では繁栄しない」や、オキシトシンの研究で有名なPaul J Zak氏のコラムをご紹介させていただきます。
Thursday, March 16, 2017 – by Paul J. Zak
仕事が冒険のように楽しくないのはなぜでしょう?
多くの人にとって、仕事はあまり愉快なものではありません。 「労働」という言葉自体が、身体的な消耗などの疲労を引き起こします。 仕事が楽しくないのはなぜでしょう?
オキシトシン
仕事がワクワクするような要因を特定するため、私は、人が働いているときの脳の活動を8年をかけて測定しました。 それ以前には、効果的な協力のための脳の原則を理解するため、10年間の研究を行いました。 この研究により、効果的なチームワークには、チームメンバー間の信頼が欠かせないことが明らかになりました。
さらに、自分が信頼されていと感じると、脳はオキシトシンという神経物質を生成し、これによって人は、他人を助ける努力をしようという気になることも明らかになりました。
そこで私は、実験室を出て、信頼の文化によって仕事を仕事と感じさせなくすることができるかどうかを研究しようと思いました。
その結果、メンバーが互いを刺激し合い、神経伝達物質のオキシトシンが生成されているようなチームは、より生産的、革新的であることが判明しました。
私のそれ以前の研究でも、オキシトシンによって他の人への共感が高まり、信頼性の高い行動をとるよう動機付けられることが示されていました。 このことは、職場でも同様です。 同僚に対して共感的に結びついていれば、同僚がなぜそれをしているのかを理解できます。
高い信頼のあるチームは、即興セッションをするミュージシャンと同じです。チームメイトが何を必要としているかを直感的に知り、それを確実に提供することができます。
私の研究では、信頼の文化を作るためにリーダーが影響を与えるための8つの構成要素が明らかになっています。
私はこれを覚えやすい頭字語(OXYTOCIN)にしました。 それらを以下に示します。
• Ovation(喝采): ゴールを達成したり、それを上回った人の功績を認めます。
• eXpectation(期待): 難しいけれども達成可能な課題をデザインし、それを達成する責任を持たせます。
• Yield(任せる): 従業員が、自分の仕事に最善をつくせるようにします。
• Transfer(転移): 自分のやりたいことを選べるように、従業員の自己管理を促進します。
• Openness(オープン): 広く情報を共有します。
• Caring(思いやる): 同僚と意識的に関係を構築します。
• Invest(投資): 個人的成功、職業上の成功を促進します。
• Natural(自然): 信頼されるような行動をとり、支援を求めます。
上記の各要因によって、組織の信頼の45~72パーセントが説明できます。 私の研究から得られる付加価値を以下に説明します。 脳科学は、これら8つの要因のそれぞれを調整して、脳の活動や従業員の行動に与えるインパクトを最大化する方法を予言しています。
信頼の文化は、これらの構成要素(OXYTOCIN)を絶えずモニタリングすることによって維持することができます。
私が自分の新著『Trust Factor: The Science of Creating High-Performance Companies』で説明している文化とは、他のビジネスプロセスと同様に測定したり、改善したりできるものです。 私の研究では、従業員から血液サンプルを採り、その脳波を調べるためにキャップを着用させました。そして十分な実験に基づいて、8つの要因(OXYTOCIN)を導き出しました。 私は、組織の信頼とその構成要素を測定するためのこうしたツールを使い、多くの企業が文化を作り直す支援を提供してきました。 信頼がビジネスパフォーマンスに与えるインパクトを私が支援した企業を超えて一般化するため、私は、2016年に、米国の1,000人以上の働く成人をサンプルに、その人たちが働く組織について質問をしました。
その結果、最も信頼の高い四分位に入る企業は、最も低い範囲の企業に比べ、職場のエネルギーが106パーセント、関与意識が76パーセント、生産性が50パーセント高いことが明らかになりました。
互いを信頼し合っている企業は、従業員の離職率がそうでない企業の半数であり、仕事を楽しんでいる割合が60パーセント高くなっています。
まとめ
信頼は非常に重要です。
このデータを分析した結果、組織の信頼という尺度の上位入る企業では、平均的な従業員が、1年あたり10,185ドルの追加利益を生み出していることが明らかになっています。 私が自署『Trust Factor』で述べたような方法で相互の信頼を高めることには、あまり費用がかかりません。信頼への投資効果は、多くの場合、1ドルあたり数百ドルにもなります。 信頼は、企業に魔法のように生じるものではありません。 これはむしろ、高パフォーマンスのために測定したり、管理できる戦略資産であると言えます。 この方法は、神経科学が教えてくれています。
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