アダプティブラーニングを知ろう!(4つの理論)
皆さまこんにちは★
本日は昨今目覚ましいAI技術の進化などによって、より実現しやすくなった「アダプティブラーニング(パーソナライズされた学習)」を構築するための基本的な要素となる「4つの理論」について丁寧にまとめられているMcGraw-Hill Education (MHE)PresidentのZach Posner氏によるATDマガジンへの寄稿を御紹介させていただきます。
アダプティブラーニングとパーソナライズをうまく組み合わせてさまざまなタイプの学習者をエンゲージするには下記4つの理論を組み合わせて使用すると良いようです。
①メタ認知理論
②意識的練習の理論
③ゲーミフィケーション
④エビングハウスの忘却曲線
もちろんこれら一つひとつをとっても学習の効果向上に非常に役立ちますが、学習を、よりパーソナライズ化するために、これらの理論がどのように役立つのかが丁寧にまとめられておりますので是非参考にして下さい。
アダプティブラーニングのパーソナライズ
By Zach Posner
最近では、「アダプティブラーニングプラットフォーム」が、企業で行われる「未来のトレーニング」として受け入れられるようになっています。
その理由は簡単です。 今日の職場環境はペースが速く不確実すぎて、人材開発担当者だけで従業員のスキルや技能を高めることがこれまで以上に難しくなっているからです。
従業員に必要とされるスキルや能力、背景はさまざまであり、地理的にも分散し、異なる世代で構成されるチームをトレーニングするということは大変困難です。
一方、このような課題に対し、高度なAIテクノロジーによる対応が進んできています。
「アダプティブプラットフォーム」が、他の方法ではできないような成功を収めはじめています。
このようなプラットフォームではインストラクションコンテンツをパーソナライズすることによって無駄な時間を大幅に削減することができ、人材開発担当のためのアダプティブかつインテリジェントなツールが提供され、それぞれの学習者にマンツーマンのインストラクターがついているかのように感じさせることが出来ます。
このようなパーソナライズ学習を機能させるための方法を理解するには、まず、アダプティブテクノロジー自体に組み込まれている考え方(つまりコースの分岐やコンテンツの経路を導く理論)が存在することを理解することが重要です。 このような理論によって、そのプラットフォームが個々の学習者にどのように対応するかが決まります。
アダプティブラーニングとパーソナライズをうまく組み合わせてさまざまなタイプの学習者をエンゲージするには下記4つの理論のベースが不可欠です。。
①メタ認知理論
②意識的練習の理論
③ゲームデザインを楽しくするための理論
④エビングハウスの忘却曲線
①メタ認知理論
「汝自身を知れ」 というソクラテスの言葉は、メタ認知理論の中心にあり、アダプティブラーニングプラットフォームの基盤となる考え方です。
この理論では、学習者が自分自身について知った場合、より具体的にいうと自分の持っている知識を完全に把握したときに、最もよく学ぶことができるとされています。
これは、自己認識というメタ認知です。
自分が何を知っており、何を知らないかを学習者が把握していれば、自分の可能性をさまざまな方法で解き放つことができます。
メタ認知は、自身の強みと弱みを学習者に意識させることによって、知識ギャップをなくすための道筋を明らかにします。
これは次のように機能します。
学習者がアダプティブなコースを進むにつれ、プラットフォームがその正確性や自信、時間などに関するデータをキャプチャーします。
そして、このようなデータを自動的に使って、知識や自信を高めるためにコンテンツを調整するので、学習者は、「自分が何を知っているかを知っている」状態でコースを終えることができます。
メタ認知理論を適用することにより、人材開発部門は効率性と自信を効果的に高めることができ、非常に価値ある結果を企業の学習環境にもたらすことができます。
アダプティブラーニングの中心にある信条は、成功の指標は、コースに参加した時間ではなく、「何かをマスターしたか?」であるべきだという考え方です。
企業のリーダーは当然、これに同意しています。
簡単にできるようなコースを繰り返すより、学習者の可能性を最大化できるような他のことを行ったほうがいいはずです。
アダプティブラーニングは、学習者がすでにマスターした教材で時間を無駄にしないよう、すでに知っていることを学習者自身が理解できるように支援します。
だから実利レベルとしては、メタ認知理論を導入すれば企業は貴重な時間やリソースを節約し、教育のために使う時間を最大限に効率化することができます。
さらに、メタ認知的洞察にフォーカスすることにより、アダプティブプラットフォームは、新たなレベルの自信を学習者に与えることができます。
企業内学習の世界では、自信の価値を軽視することはできません。
たとえば、医薬品を販売する会社が、営業担当者に接客販売のテクニックを教えるためのトレーニングプログラムを実施する場合、ここで期待される結果は、チームのメンバーが顧客との間に信頼を確立し、真に人間的なつながりを構築するような思慮深い営業方法を身に付けることです。
この場合、従業員に自己認識が欠けていれば、単に新たなテクニックをマスターしたことを示すだけでは不十分です。
たとえば、従業員がトレーニングアセスメントに合格したけれども、自分自身の知識に関する意識が欠けていれば、期待される結果を得ることができない可能性があります。
それは、このようなタイプの営業には、何かをマスターするだけでなく、自信が必要だからです。
自分の知識をより強く認識することによって従業員の自信が高まり、その結果、トレーニングで習得したスキルを適用できるようになるのです。
さらに、自己認識という武器がある従業員は、自分自身の仕事を超えて、自分よりのスキルが劣る他の従業員の面倒もみる可能性があります。
1人のチームメンバーの自信は、その同僚、マネージャー、スタッフ全体へとひろがっていきます。
②意識的練習の理論
意識的練習の理論は、自分の弱みを理解することで練習テクニックを洗練させ、「的を絞った学習をさせることができる」という考え方です。
同じ問題に取り組んだり、同じスキルを繰り返し練習する方法は、未知の課題に集中し、学習者の既存のスキルセットを超えた課題に取り組む方法よりも効果がありません。
アダプティブラーニングプラットフォームは、この理論に従って、個々の学習者の弱みに基づいて新たなコンテンツを学習者に示すことにより、時間を節約し、コースを最大限に効率化します。
このようなプラットフォームは、すでにマスターした練習や学習目標に取り組ませるのではなく、学習者に新たな課題や教材を自動的に示し、すでにマスターした内容以上のことを学習者に求めます。
多くの場合、この理論は、定量化可能で実利の得られるような方法で、すべての分野に適用することができます。
たとえば、会計事務所が、顧客のオフィスで監査を実施する前に、従業員に特定の分野をマスターさせる必要がある場合、 トレーニングや能力開発に費やした時間が、直接的にその利益に影響します。
トレーニングに費やしたすべての時間が、利益を生み出すことに使われる時間となります。
だから、従業員の強みを漠然と眺めるのではなく、従業員の弱みを修正することにトレーニング時間を使えば、従業員と会社の両方に利益がもたらされます。
アダプティブプラットフォームはこの理論を使い、コンフォートゾーン外にある、もっと取り組み甲斐のある課題を学習者に与えます。
このように、少し無理をすることで自信が構築され、学習者(およびそのアドバイザー)がそれまで自分では意識していなかったような強みに気付くことができます。
意識的練習を行うことにより、従業員が自分の限界を超えて課題に取り組み、期待以上の結果を得ることができます。
③ゲーミフィケーション
意識的な練習は、アダプティブラーニングテクノロジーに欠かせない要素であり、これによって、学習者に適切な負荷を与えることができます。
それと同時に、この理論は、
学習者に適度な課題が与えられたときに、そのエンゲージメントレベルが最大化するという、ゲームデザインを楽しくするための理論とのバランスをとる必要があります。
アダプティブプラットフォームのアルゴリズムには、この戦略が直接的に組み込まれています。
たとえば、学習者が連続して答えを間違えた場合、アダプティブプラットフォームは、学習者の知識ベースの範囲内にあるような質問を自動的に挿入します。
このようなプラットフォームは、学習者が確実に正解できるような質問をはさむことにより、学習者の自信やエンゲージメントを高めます。
これは当然、すべての学習者にとって意味があります。
課題が難しすぎていやにならない学習者はいません。
企業の場合、この理論を使ってエンゲージメントを高めることができます。
企業のトレーニングではしばしば、古い世代の従業員に新たなソフトウェアやテクノロジーをトレーニングするなど、既存の従業員のスキルを高める必要があります。
たとえば、産業技術の会社が、すべてのプロジェクトに新たなデザインソフトウェアを導入する場合、 長年勤務している従業員は、他の従業員と共に、この新たなテクノロジーを採用する必要があります。
このような従業員は、自分の技術知識に引け目を感じるかも知れません。
不安や孤立感があったり、新たなソフトウェアシステムに対する適応性がある若い従業員の世代と一緒に新たなテクノロジーを覚えることに苦痛を感じるかも知れません。
ゲーミフィケーションを取り入れることにより、アダプティブラーニングプラットフォームは、このような従業員が感じる抵抗感を少なくすることができます。
このような従業員が課題に取り組む場合、自分の強みに関しては肯定的な評価を受ける一方、弱みに関しては、成績が問題とならないトレーニングを受けることができます。
このようにすれば、孤立感を感じる代わりに、課題に取り組んで、会社での仕事を続けるために必要とされる新たなスキルを磨くことができます。
④エビングハウスの忘却曲線
エビングハウスの忘却曲線は、何かを真に学ぶには、学習者がそれを長期記憶に入れる必要があり、これを効果的に行うには、学習者がそれを忘れかけた頃に繰り返す必要があることを示唆しています。
アダプティブプラットフォームは、学習者の長期記憶から知識が消えるタイミングを予測するデータを使うことによって、この理論を組み入れています。
このようなプラットフォームは、記憶が消えかかる前に、知識を再度示すことにより、それを学習者の長期記憶に保持させることができます。
学習者が企業のトレーニングで長期記憶を形成することの意味や利点は簡単にわかります。
たとえば、病院で、入院患者のための新たな手順を看護士に教える場合、 このような従業員が、コースの終了後にも知識を保持することが重要です。
これは人の命がかかっているのです。
どのような分野であれ、短期のレッスンから永続的知識を得れば、学んだ知識を学習者が実際に適用する可能性が高まります。
これはつまり、同じ教材を毎年繰り返す必要がないことを意味します。 同じことの繰り返しで時間を無駄にすることがなくなります。
おそらく最も重要なのは、学習内容が記憶に定着し、タレント開発チームが、自分たちのトレーニングキャンペーンからよい結果を得られることです。
結局、タレント開発のエグゼクティブは、従業員が学んだことをトレーニング後に実際に適用することなくアセスメントに合格するだけではなく、知識の保持と測定可能な成功を求めています。
企業の学習が真に成功し(その価値を証明できる)、変化がみられ、広い範囲の学習者にパフォーマンスの向上がみられるようにするには、学習者が長期記憶を形成することが欠かせません。
これら4つの理論をアダプティブプラットフォームのアルゴリズムに組み込めば、企業のトレーニングをパーソナライズして学習効果を大きく高めることができます。
このような環境では、多様な構成の大規模なチームが世界中に分散している場合であっても、一対一で教わる場合と同様の学習体験を得ることができます。
このことは今日の企業にとって真に価値あることではないでしょうか?
UMUは5月にバージョンを3.0→4.0にアップグレードします。
AIを導入し、より学習のパーソナライズ化、アダプティブ化を目指します。
発表は2018ATDICE。
http://learning.umu-japan-blog.com/posts/4084997
日本にも順次展開していきますのでお楽しみに!
UMUは、「教える」「学ぶ」「実践する」 そして、パフォーマンスを向上させるために革新的な機能とサービスを提供し続けております。
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これからもぜひご期待ください!
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