新型コロナで急遽オンライン研修に切り替え。操作性のよさが柔軟な運用に、社員の潜在能力も発見。
株式会社ミキハウス 様
(左:藤原裕史さん、右:森万知子さん)
子供服ブランドを展開するミキハウスでは、これまでもマイクロラーニングを活用、集合研修と組み合わせながら社内での運用をしてきました。新入社員研修については集合研修を中心としたプログラムで進めていましたが、今回は新型コロナウイルスの影響で集合することは叶わず、フルオンライン型で研修を実施せざるを得ない状況になりました。この大きな変化に対し、どのように準備し、オンライン研修を組み立てたのでしょうか。
実際の学習設計や新たに発見したことについて藤原裕史さん(株式会社ミキハウスHCサポート取締役)と森万知子さん(株式会社ミキハウスHCサポート教育研修部マネージャー)にお聞きしました。(2020年5月インタビュー)
企業情報
社名 :株式会社ミキハウス
大阪本社 :大阪府八尾市若林町1-76-2
東京支社 :東京都千代田区大手町2-6-2 日本ビル6F
設立 :1978年9月(昭和53年)
資本金 :2,030百万円
ホームページ :https://www.mikihouse.co.jp/
楽しんで慣れる!直感的に操作できるのでコメントや動画も気軽に共有
―新型コロナウイルスの影響で先行きが見えないなかで迎えた4月、研修の中でどのようにUMUを活用しようと考えたのでしょうか。
本当に先行きの見えない状況でした。4月1日のオンライン入社式のあと、新入社員たちはさっそく自宅待機に。そうなることが決まったのは直前でしたし、その自宅待機がいつまで続くのかわからない。百貨店も閉まるかもしれない。でも、オンラインでの研修やe-learningに取り組む機会がこれから格段に増えるだろうということは大いに予測できました。
そこで、自宅待機が決まっている4月2日~10日までは、「オンラインの集まりやUMUに慣れる期間」にしようと決めました。入社して早々の自宅待機、新人もかなり不安だったと思います。まずは内定者時代から育んできた「会社への帰属意識」をさらに高めながら、外部環境に流されず、「働く意欲が湧く」ように活気あるものにしたいというのもありました。
―4月2日~10日のあいだ、具体的には、どのようなプログラムだったのでしょうか。
月~木は毎日17時に動画コンテンツを配信、金曜日は17時にオンラインで集合、土日はお休み。そんなふうに決めました。
そして、もうひとつ決めたことは、「堅苦しくしないこと」。e-learningは楽しいんだ、と思ってもらいたかったのです。
実際のコンテンツの内容は…
まず初日。スポーツ堪能な新卒採用担当のスタッフが、室内でのストレッチや筋トレの方法を熱く語る動画を配信。かなり振り切って、エンタテインメント風に仕上げました。そして、動画をみたあと、新入社員たちがどのように健康管理に取り組んでいるかをコメント欄に記入。それに対し、新卒採用スタッフが返答するという形でフィードバック。
振り切ったので、新入社員たちのコメントに堅さがなかったですし、
「自分たちがアクションを起こせばきちんと反応がある」という安心感を持てたようでした。
―親近感を持ちやすい社員が出演する動画にコメント、フィードバックするという流れ。新入社員の不安な気持ちに寄り添いつつ、UMUならではの特徴を存分に活かした設計ですね。動画をかなり活用されたのですか。
そうですね。
2日目からも異なる動画を配信しつつ、新入社員たちからも「動画」を受け付けました。
「自宅待機期間を有意義に過ごすために取り組んでいること」というテーマでは、別の新卒担当スタッフが「おばあちゃんと一緒に趣味の編み物をしている」動画を配信。それに対し、ある男性新入社員は、「仕事の開始に向けてラッピングの練習をしている」と家中のものにリボンをつけている動画を配信。そのほかにも、「健康のために自炊」している様子だったり、「語学の勉強」をしている様子だったり。
堅苦しくなく、楽しく取り組んでもらいながら、UMUの機能に慣れ、できることをレベルアップしていってもらうようにしました。UMUはわかりやすいので、新入社員たちもすぐに使いこなせていましたよ。
<スポーツ堪能なスタッフの運動動画>
<新入社員らの課題提出動画>
状況が変化する中柔軟に研修設計、UMUの「双方向性」フル活用
―4月7日には、政府から緊急事態宣言が発令されました。
これをきっかけにオンライン研修に切り替えたと考えてよいでしょうか。
はい、百貨店も閉店することになり、GW明けまでは自宅待機が続くことが確実になりました。そこで、意識を切り替えて、通常の集合研修でのプログラムや課題などをオンラインに再構成する決定をしました。新入社員たちからも「早く仕事につながることをしたい」という気持ちが伝わってきましたから。
オンラインでの集まりやUMUの使い方には慣れてきていましたので、次の段階として、4月13日~17日はオンライン研修とe-learningを並行して行うことにしました。
―オンライン研修とe-learningは具体的にはどのような設計だったのですか?また、オンラインだからこそ気をつけたことはありますか。
オンラインで集中できるのは2時間までが限界でしょう。ですので、1つ1つの講義時間は短くし、オンライン研修とe-learning学習の時間をバランスよく設計することに気をつけました。基本の流れは以下のとおり。
【1日のスケジュール】
9:30オンラインで集合、オリエンテーション(①)/本日の研修に向けた問い&事前課題の設定(②)
9:45各自UMUコンテンツにて学習・事前課題への取り組み(②)
16:00オンライン研修(③)
17:30グループディスカッション(③)
17:50まとめ/事後課題の設定(④)
18:00終了
上記スケジュールを組む際、
これまで集合研修で大事にしてきた以下①~④は変わらず大事にしました。
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- 安心して学習できる場づくり
- プログラムの全体像を明示すること/わかりやすく無駄のない学びのコンテンツを作成すること(インストラクショナルデザイン)
- 主体的な参加を促すこと/そのための縦横のコミュニケーションや意見交換の時間をたくさん取ること(ワークショップデザイン)
- スキル定着・行動変容のために今後のアクションプランを立て、後日振り返りも行うこと
大事なポイントを押さえつつ、スケジュールにリズムをつくることで、「時間を守る」をはじめとした社会人としての基本行動を定着させることも可能でしたし、「学び・気づき」といった点においては集合研修以上の成果があるのではないかと感じました。
毎日UMUを使って事前課題・事後課題に取り組むことで、それぞれの学びの様子・理解度が可視化できたのが大きいと思います。
オンライン講義を実際やってみると、事前課題で出したQ&Aが発端となってより深い内容になっていくのです。どんどん受講生主体の研修になっていきました。
そうやって進められたのは、
私たち人事が新入社員の考えがしっかり見えたこと、そして
新入社員も「人事が見てくれている」そして「同期もがんばっている」と思えたからだと感じます。
まさにUMUの双方向性が活きたと感じる場面でしたね。
全員が受け手から発信者へ、のびのび表現して潜在能力を発揮
―オンラインでも自己表現がしっかりできていらっしゃるように感じます。集合研修との違いで感じたことはありますか。
集合研修ではどうしても集団でみてしまう傾向がありました。例えば、10人いたら真ん中の6番目にあわせるのか、前から2番目にあわせるのか等考えながら進行しますが、オンラインだとひとりひとりの顔がよく見える。皆が同じ大きさの枠の中にいて、同じだけの温度で個々が見えるんです。
また、集合研修よりものびのびとした発言・提案が多かったと思います。いい意味で、お互いの「顔色」を気にすることなく、自分の意見を発信できていたようです。「こう言ったらダメかな」といった妙なプレッシャーを感じにくかったのでしょう。
一方、新入社員から「UMU上でお互いがフィードバックする機会を持てたことで、相手の考えをしっかり聴く・受け止めるということができるようになった。自分の言葉で考えを伝えることができるようになった」といった声もありました。
―全体を振り返ってみて集合研修では得られなかっただろう新たな発見、驚いたことなどがあれば教えてください。
UMUは課題の提出形式をさまざまに設定できますよね。
今回、動画・パワーポイント・文章…提出の仕方に条件をつけませんでした。そうすると、さまざまな形式で上がってきました。作り方に個性が出ていたと思います。また、思っていた以上に新入社員の方がITリテラシーが高い面もありました。
動画を作りこんで提出してくるメンバーも多かったですし、あとはパワーポイントの表現も上手だなと思いました。イラストや飾りなどを上手に使いながら、視覚的にとても分かりやすく作られていました。こんな才能を持っているんだな、という発見でした。
<パワーポイントのレジュメの画像>
―それは嬉しい発見ですね。新入社員は発信するためのツールがあればいろんな表現をすることができる。UMUを使ったことで、思わず潜在能力を引き出せてしまった。そこに驚きがあったということですね。
そうですね。今まではこういった表現力を引き出せていなかった、と気づかされました。「若い人は接客場面で必要な対人感性が不足している」と決めつけて、だったらどう育成するか?ということばかり考えていたように思います。でも、彼・彼女たちの表現力を見ていると対人で話すことだけがコミュニケーションではないということを実感できました。「足りない!」と補うことも大事ですが、若い人たちの表現力を活かす発想を持つことも大切。そのためには会社での育成のかたちを見直す必要があるのだと感じました。
UMUは「ジュエリーBOX」、学ぶ内容によって組み合わせが可能
―UMU以外のマイクロラーニングの仕組みを既に導入していたと思いますが、UMUの使い勝手はいかがでしたか。
既存のe-learningとUMUは作り込みの考え方が違うと感じました。UMUはいわば「ジュエリーBOX」。作った学習ツールが1回使って終わり、ではなく、蓄積されていく。そしてその中から学ぶ目的や対象に合わせて最適のコース(コンテンツ)を選び、組み合わせて1つのプログラムを構成する、いわゆる「キュレーション」できる柔軟性がありますね。
これまではこの概念がなかったので、慣れるのに少し時間がかかりました。でも、一度理解ができればとても使い勝手が良いです。
コピー機能も便利ですね。使い込むほど手間が省けてスピードも上がり、かつ、よりレベルアップした仕上がりになっていきました。
また、インターフェースがわかりやすくホーム画面(トップページ)のカスタマイズが簡単なのもいいですね。気軽に差し替えできるので、画面に新鮮さを出せます。そのときの課題、会社の方向性―推薦したい内容を目立つように設定できますし、クラスによって変えられるのもいいなと思いました。
日々状況が変化する中での今回の研修は、「どんな状況であっても本質を外さず、柔軟に対応して行く」という会社の姿勢を伝えることができ、結果的に新入社員の信頼を得ることができたと思います。また、私たち自身も、新入社員から沢山の「気づき」や新たな発見をもらいました。私たちのそのチャレンジをしっかり支え、促進してくれたのが、UMUの操作性や仕組みの秀逸さだったということは間違いないと思います。
【インタビューを終えて】
作り手の学習設計でUMUは花開いた、と感じました。印象に残ったことは3つです。集合研修以上に1:1コミュニケーションの時間が取れたこと、自然な形で受講生主体に構成できたこと、個性や潜在能力を発見できたこと。ただし、これらの実現には、ミキハウスさんが最初のステップの軸とした「安心して学習できる場づくり」があったからだと思います。UMUが企業に導入されることによって、様々な形の花が咲く、学習文化という花が咲く、そんな未来が浮かびました。
(インタビュア:UMU益山亜希子/構成:石川慶子)
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