地域NO1.の「質の良さ」を目指して学びのDX化~“教育に重点を置かないと生き残れない”危機感でひた走る
(左から、人事部採用教育課 部長:中村さん、主任:柴田さん、副課長:井出さん、課長:安本さん)
株式会社静鉄ストアは、静岡県でスーパーマーケット「しずてつストア」を展開。UMUを導入したのは2021年4月の新人研修から。同社はクォリティ・リーダー宣言を掲げ、人も商品も器も「質の良さ」で地域NO1.を目指しています。その流れの中で、教育に重点を置かないと生き残れない、といった危機感が生まれたとのこと。社内で推進しているのは、2020年に人材開発担当者になったばかりの人事部採用教育課 副課長 井出 和也(いで・かずや)さん。短い期間で精力的に内容を構築。地域に密着したスーパーマーケットは、一体どのようにUMU活用の第一歩を踏み出したのでしょうか。同社の取り組みについてお聞きしました。(2021年8月)
企業情報
社名 :株式会社静鉄ストア
本社所在地 :〒420-8555 静岡県静岡市葵区末広町95番地
資本金 :1億円
設立年月日 :平成11年(1999年) 1月27日
ホームページ :http://www.s-store.co.jp/
「人も商品も器も」これは順番が大事
―井出さんは、2020年に人材開発のご担当になり、2021年の4月にはUMUを導入したとのこと。随分決断が早かったようです。会社の方針として既に人材開発のDX化が決まっていたのでしょうか。
当社のミッションで、クォリティー・リーダー宣言というのがあります。「人も商品も器も、しずてつストアは質の良さで地域No.1を目指します」なのですが、この順番が大事でして、最初に来ているのが「人」です。人があってこそ、といった考え方が軸となっています。ですから、教育を重点的にやらなければ生き残れない、といった危機感と信念が会社として既にありました。私が人材開発を担当することになった時には、効率的な業務ができる教育、具体的には、動画マニュアルの推進等、DXを含めて進めてほしい、と言われました。会社として人材開発におけるDX化方針が決まっていたので環境は整っていったと言えます。
▲しずてつストア「クォリティ・リーダー宣言」
―井出さんご自身は人材育成を意識して仕事をしてきた、テクノロジーに関心が強い、あるいは新しいことにチャレンジするのが好きだ、といった素地があったのですか。
それが、実は私自身は、デジタルは苦手でして。SNSもやりませんから。。。
人材育成には興味をもっていました。部門長になったことからだったと思います。入社後は、最初にデリカ部門に配属され、店舗担当者として2年。その後、2つの店舗で部門長になったのですが、責任ある立場になったことで自然と人材育成は意識をするようになりました。また、店舗のPOP、チラシの作成、イベント企画など営業企画の販促業務を4年半行っていました。さまざまなことを企画したり、チャレンジしたりするのは好きな性格だと思います。
そもそも、静鉄ストアに入社したのは、変わったことに取り組む面白い企業だと思ったからです。商品の安売りではなく、価値のあるもの、地元の商品を大切にするという姿勢を感じていました。実際、有機野菜の売り込みや、ビジュアル面でも高質に見える見せ方を当時から工夫していましたから。ここなら面白そうだと思って選びました。
▲しずてつストア お取り組みの一部
―価値あるものを見出す目利き力がありそうです。人材開発のDX化ミッションを果たすためにいろいろな勉強を重ねている時にUMUに出会ったのですか。
2020年の秋、外部のセミナーで初めてUMUを知りました。肉・魚・野菜の切り方、加工の仕方についての動画マニュアルをもっと効率的に作成できないか、と模索していた頃です。そこで、出会ったのがUMU。相互コミュニケーションを含めたこんな教育プラットフォームが世の中に出る時代になったんだ、といった衝撃がありました。他社も見ましたが、UMUは守備範囲が広いと感じました。
人材開発DXは、デジタルが苦手でも推進可能
―先ほど、会社として人材開発DX化方針は出ていたとのことですが、社内でのUMU導入にあたって苦労したことはありますか。
昨年から人材開発担当になったもののコロナ禍ということもあり、予定していたカリキュラムの3分の1程度しかできず、新入社員研修が不十分なまま現場に配属させてしまったという反省がありました。これがDXを迅速に推進するパワーになったのだろうと思います。
今年の新入社員にはタブレットを持たせることは決まっていましたので、UMUを導入して進めたいといった方針を発表したところ、特に反対意見はありませんでした。社風としても、「新しいことへのチャレンジ」が歓迎される土壌があり、上長からも、結果と報告だけもらえれば構わないと言われました。
実際の導入前には、無料アカウントを作って、フォローアップ研修をオンラインで行ってディスカッション機能を使いながら上長にイメージしてもらう段取りは踏みました。
むしろ、自分の中で決めるのに時間がかかったことが苦労というか苦労の原因になったといえます。決めたのが2月後半になってからで、そこからのコンテンツ作成期間が短くなってしまったのです。
―井出さんおひとりで準備されたのですか。
対象となる新入社員は22名で管理者は3名で登録をしましたが、コンテンツ作成者は私一人でした。初歩的な部分の不明点が多かったため、UMUサポートを多く使い、アイディアもたくさんいただきました。コンテンツ作成は一人で大変でしたが、自分の中で整理しながら進められたメリットもあります。
UMU初心者でしたので、自分が使える機能から使っていきました。新入社員が迷わないためにはどのようにすればいいのか、自分がわかれば他の人はわかるだろうとも考えました。気を付けたことは、研修受講者と同じ目線に立つこと。具体的には毎日のスケジュール設計を組み立てながら中身を作りました。
―予想以上にうまくいったコース、プログラムはありますか。
自己紹介動画です。新人向けに会社としてウェルカムメッセージを作ったらどうかというアイディアをUMUのご担当者からいただきました。その流れで、新入社員に自己紹介動画を撮影してもらうことを企画したところ好評でした。
それと、他の人の感想を画面に写すディスプレイ機能は、お互いの理解が進み、ディスカッション進行にも役立ちました。他の人のコメントも多く共有できるのはUMUならではの機能です。
助かったのは、設計する私よりも新人の方が使いこなしていたこと。動画や音声スライドのタイムライン上に「いいね」などを行う機能は、こちらから何も言わずとも進んで使っていました。
▲人事部からのウェルカムメッセージ
▲新入社員の自己紹介動画
▲UMUディスプレイ機能(例)
―各店舗紹介をするユニークな試みをしたそうですがどのような取り組みでしたか。
新人研修の研修期間を3ヶ月設けていますが、集まるのは1ヶ月半。その後は各店舗での実施となります。どうやって各店舗でUMUを使えるだろうか、と考え始めた時期に、UMUのご担当者から連絡があり、いろいろな使い方事例について解説を受けました。そこで新人が各店舗の紹介をする音声スライドを課題として提出するコースを作成しました。店舗の写真を数枚撮影してそこに音声で解説を入れるといったシンプルな使い方です。
―動画ではなく、音声スライドにしたというのは意外です。
動画にすると店舗に出入りする人が映ってしまいます。写真なら人が映らないように撮影するのが容易です。また、写真の撮り貯めができるため、動画よりもハードルが低いといえます。新人は抵抗なく使いこなしていました。最初に申し上げたように私自身はデジタルが苦手ですが、新人から教わることができるのだ、といった発見がありました。
▲新入社員が作成した店舗紹介動画(音声スライド)
―スムーズにいかなかったことはありますか。
提出された課題や入力されたコメントへのフィードバックにもっと時間を使えるとよかったと思います。後から見返すと気になる発言やその人の成長促進ポイントなどでの支援が十分ではなかったと感じます。新入社員同士でのコメント促進も十分ではありませんでした。
私自身が即座のコメント返信に躊躇してしまった点もあろうかと思います。新入社員に対して、連絡ツールとしての利用や質問への返信などについて最初の段階で説明しておけば、もっと活用できたのではないかと思います。
―全体を振り返ってみて役立ったことや今後のチャレンジについて教えてください。
参加者からは、迷わずに進められたといった声がありました。私自身のメリットとしては、上長への報告がとても楽になりました。UMU上にどんどんコンテンツが溜まっていきますし、ダウンロードも可能ですから。社内ではキーワードや共通している内容が分析しやすくなったと評価されています。
当初の課題だった動画マニュアルについては専用の動画作成ツールを使っているので、UMUからはそこにリンクするといった使い方でいいのではないかと思っています。
今後は、新入社員研修だけでなく、店舗スタッフや正社員登用者や中途採用、内定者フォローにおいて自己学習に使えるのではないかと期待しています。会社の理念などについてしっかりと学ぶコース設計が考えられますが、自己学習については各担当者と協議しながら進めていきたいと思います。
インタビューを終えて
人材開発DXを進める井出さんの口から、「実はデジタルは苦手」とお聞きし、正直驚きました。同時に、その苦手意識を信念の力でどんどん乗り越えていく姿を目の当たりにして感動してしまいました。軸にあるのは、会社の理念である人を何よりも大切にする考え方と将来への危機感。「人も商品も器も」、この順番が重要なのだ、商品の価値は人が作り出す、だからこそ教育は企業の存続にかかわることだ、と静かに語っていましたが、力強さに溢れていました。スーパーマーケットは私たちの毎日の生活に必須で大切な存在です。このような身近な業態でUMUが役立っていることを知り、私たちも改めてやりがいを感じました。これからもさまざまなアイディアを交換しながら伴走していきます。
(担当:高田蒔/構成・編集 石川慶子)
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