ワオ高校様が取り組んでいる教育の考え方・オンラインを活用したアクティブラーニング
ワオ高校様が取り組んでいる教育の考え方や、 実際に注力している教育プログラムについて
一言で言うと当校は「スーパーグローバルエリートを育てていく」ことを目指しています。当グループは45年間学習塾をやってきましたが、受験教育を受けてきた人たちが日本を支えているという構図が世界から取り残されていて・・・このままの教育でいいのかなという疑問をずっと抱えてきました。
では、何がダメなんだろう、何が足りないんだろうと考えて、出した答えの1つが、まずは「英語」でした。中高大で英語を勉強してきたのに、実用的な英語を身につける為には、学校とは別で英語の勉強をしなければいけない状況なのです。
そして、今後何十万人というデジタル人材が不足すると見込まれている中で、圧倒的に日本はデジタル人材の育成が遅れていて、今やっと「情報という科目を入れよう」という程度に止まっています。大学でもデジタル教育、例えばデータサイエンティストの講座を取り入れようという動きが出きてはいるものの、まだまだ遅いです。早いうちからしっかりやった方がいいはずなのに、社会で必要とされるスキルと学校教育が大きくずれているなと思います。
学校長 山本 潮 様
加えて、今の日本人に圧倒的に足りていないのは、スキルもさることながら、「自分で物事を考える思考力」や「オリジナリティ」です。これは義務教育の弊害だと言わざるを得ません。答えを見つけることや答えを出すという作業には慣れているものの、問いを発見して、自分の頭で考え、時には周りと協力しながら解決するというトレーニングに、もっと力を入れなければなりません。そこで当校では、「教養(哲学・科学・経済)」を取り入れました。
まとめますと、当校の教育プログラムは、「今の教育でいいのか?」という視点から、世界で通用する人材が育っていくために、新しい教育が必要だという理念のもと、スタートしている、ということです。
理念を元に取り組みを進める中で、実際の学生さんをどのように捉えていますか?
色々なタイプの子ども達が集まってくれています。例えば、「教育を通して世界の貧困を救いたいという想いがあり、ワオ高校なら出来る気がする」という理由で私たちの学校を選んでくれた子もいます。「自分で起業をして、世の中に貢献し、GAFA(ガーファ:Google、Apple、Facebook、Amazonの総称)を超える企業を作りたい」という志を持っている子もいます。普通の学校で実施されている一般のカリキュラムではなく、本校独自のカリキュラムを受けることによって、大きな目標や夢を持っている子どもたちが伸び伸び学習できるため、個性豊かな子どもたちが集まってくれるのだと思います。
保護者の受け止め方について
当校の独自プログラムについて、保護者の印象は二極化していると言えます。コロナ禍でもリモートワークなど、比較的自由に働かれている人たちは、受け入れやすい傾向があるようです。反対に、保守的な方々には受け入れ難いのかもしれません。やはり、未来に向けて今を変えていこうとか、新しいものを取り入れることに抵抗がない方々には非常に高評価をいただいている感じがします。こういった独特な校風について、首都圏在住の方々には受け入れられることが多いものの、地方に行けば行くほどに保守的なリアクションになる傾向が高いです。
オンラインで自主的に学ぶことに対する保護者からの不安の声
当初、「オンラインで自主的に学ぶシステム」について、地方在住の保護者の方から不安の声がたくさん届きました。新しいシステムなので、不安になるのは無理もありません。ただ、実は、オンラインの方が生徒1人1人の進捗の確認であったり、どういう進め方をしているかというのがすごく把握しやすいんです。例えば、「起立性調節障害」を抱えている子どもの場合、毎朝学校に行って授業を受けるのは難しいものの、午後や夕方以降は元気が出て、学ぶ意欲が高まるというケースの子がいます。そういう子は、集中出来る3~4時間にぐっと学びを凝縮することが可能なのです。教師として、実際に勉強をしている時間や環境をある程度は把握し、その子に合った勉強スタイルがあることを保護者の方にお伝えすると、安心して頂けるようです。
教頭 河本 尚 様
今回、初めてUMUを導入するに至った背景や課題意識
学校を作る際、最重要とした条件が、「オンラインでやる」ということでした。なぜオンラインかというと、従来型の教育ではなく、子ども達が主体的に学ぶスタイルを構築するためです。準備を進める中で、これは全日制の学校ではなく、通信制の方が良いということになり、そして、自由に学びをコーディネートできることを大切にしました。そして、主体的に学ぶ(アクティブラーニング)ためにも、リアルでやるよりもオンラインの方が絶対に良いという結論に至りました。
アクティブラーニングは、オンラインの方が適しているか
40人のクラスで実際に授業をすると、アクティブラーニングをするには、時間の制限や人数の制限があるだけでなく、発言する子としない子の差がどうしても出てきてしまいます。「こうだ!」と主張する子がいると、賛成せざるを得ない空気感ができてしまうのは、大人の世界でも同じですよね。ただ、ここは社会の場ではなく高校なので、ディスカッションする訓練が必要であり、求められます。子ども達が自分の意見を言いやすい環境を作ってあげるには、リアルよりもオンラインの方が良いのではないかと思っています。
オンラインで授業を展開し学習定着ができるツールがないか探していたところ、ご縁があったのがUMUでした。
アクティブラーニングをいかに実現させるかが最重要ポイント
1つのテーマについて子ども達がしっかり議論できるようになるために、隙間時間を使って、マイクロラーニング的に少しずつ進めるのが効果的です。面と向かって言えなくても、パソコンに書き込むことでハードルを下げることができて、教師が「それ、面白いね」などとリアクションすることで、意見が言いやすくなったりします。自分の意見を言ってもいいんだ!人の意見に対して「良いね」って言っていいんだ!というのを腑に落とさせるのが大事ですね。
UMUは、アクティブラーニング的な教育面だけでなく、SNSや課題の提出機能なんかもあって、複合的に活用できるので、「凄いものを見つけたな!」という感覚でした。
リアルで同期的なコミュニケーションになるので、短い時間でのやりとりだとチャンスを逃してしまうことが多くなります。言葉で可視化することによって、色々な人の色々な考え方に触れることができるので、自分の考えを深めていけるきっかけになりますね。
書き込むことによって、関心が積み重なっていく
当初、実際に本当に子ども達がちゃんと書き込んだりコメントするものなのか心配な部分もありましたが、予想以上に子ども達は行動で見せてくれます。ただ単に、情報を取り込んでテストを解くのとは違い、自分の言葉を使って表現していくことが出来るようになって、率直に「文章を書くのが上手になったなあ。」と思い、効果を実感します。そして、教員も書き込んで、非同期のコミュニケーションを続けることによって、意見をブラッシュアップしたり、好奇心が広がったりして、すごく魅力的なツールだと思います。
UMU導入による副次的効果や、行動変容
それまで集団の中で発言をしなかった大人しいタイプの子が、自分の意見を積極的に書くようになりました。教員の方にも変化があり、評価の仕方では、単に「良かったよね」で終わるのではなく、「じゃあ、その時はこうでこの場合はどうなる?」という次の問いでしっかり繋いでいけるので、子ども達が更に考えを深められるようになるというのは、教員育成の観点でもすごく良いことだと感じています。
学校は結構閉鎖的な環境なので、クラスの中で先生が発した言葉というのはその瞬間に消えてなくなるものなんです。管理者側からすると、どんな授業をしているのか把握できない場合も多いです。やりとりが全てオープンなので、教員の研修にも繋がっている重要な要素になっています。
ワオ・コーポレーションという学習塾の特徴
ワオ・コーポレーションの学習塾は、とても変わった塾だと昔から言われていまして、その特徴の1つが、授業中でも教室のドアを閉めないことです。ドアを開けたまま授業をするので、教室内の声が外に聞こえます。隣で授業をしている先生が、普通に入って来たりもします。新人の先生が緊張しながら授業をしていて、子ども達があまり集中出来てないなと判断したら、ベテランの先生が入ってきて授業を引き継いだりします。「みんなちゃんと話を聞いてる?ここはこうなっていて・・・」なんて、説明しだすんです。そうすると、子ども達が息を吹き返したように活発になってきて、授業後は先輩講師がアドバイスするんです。こういうオープンな文化がUMUとの相性にも繋がるのかもしれません。
UMU導入に対する教師側の意見
テキストベースのコミュニケーションで、生徒と関わりながら進めていくという事を、プラスに捉えている教師は多いと思います。生徒に問題を投げかける際は、クイズのように問うことも出来れば、AIを使った診断という出し方もできて、かなり自由度が高いです。もっと具体的にいうと、国語で「1分間で自分の好きな物について、人に伝わるように魅力的に話をする」という課題を出した場合、それぞれがスライドなど入れながら上手にプレゼンしているんです。子どもの試行錯誤を随時確認できるので、リアルの授業ではなかなか実現できないことができているなと思います。
メタ認知の重要性
講師の授業力を上げるために一番良いのは「自分の授業を動画で撮って確認する」ということなんです。「メタ認知」を上げることに尽きます。これを英語の授業に応用し、音読したデータを提出してもらっています。継続してる子の英語は本当にネイティブのように聞こえたりするんですよ。最初は恥ずかしくても、それが当たり前になると自主的に録画や録音をして、客観的に分析する力がつくので教育効果は高いです。
「メタ認知」とは、教育の本質と言えます。自主的に学習出来るようになるための、唯一の手段と言ってもいいかもしれません。
「ワオ高校×UMU」、今後の展望は
「第4の高校、学校4.0」という構想があります。1が全日制、2が定時制、3が通信制とすれば、今までにない第4の学校を作ろう!という想いでワオ高校を運営しています。高校の卒業資格を得るために通信制の高校に通う人たちが多いのはいうまでもありませんが。これからは、自分のやりたい事を通して世の中に貢献していく「志」が大事になると確信しています。高校生だって立派に社会に貢献するパワーを持っているんです。ですから、受験のためではなく、自己実現や社会貢献を目指す子ども達が、きちんと胸を張って取り組める学校を作っていきたいんです。そのために、UMUのようなプラットフォームがあることで、可能性は無限大広がると確信しています。そして、元々兼ね備えている自発性を加速させていくのがUMUなのかなと思っています。
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