人に寄り添う信念で1カ月のスピード導入、期待値を超えるアクティビティ パナソニック株式会社様

 

パナソニック株式会社は「人に寄り添う」学びを心がけ、これまで集合型での新入社員研修を実施してきました。しかし、2020年4月の新入社員研修は新型コロナウイルスで集合研修が実施できない状況となり、オンライン型への変更を余儀なくされました。UMUでなら「人に寄り添う研修ができるのではないか」と考え、急遽導入を決めたのが3月4日。入社まで1カ月を切っていました。社員講師(以下、チューター)によるクラス担任制で新入社員研修を運営するという特徴を持つパナソニックでは、2020年4月にグループ会社を併せ、1000名以上の新入社員を迎えました。一体どのようにこの短期間でプログラムを準備したのでしょうか。

今回導入を発案し、実際に運営を行ったパナソニック株式会社
人材開発カンパニー
コーポレートL&D部の小野山敬一さん、赤井美奈子さんにお聞きしました。(2020年8月インタビュー)

 

企業情報

社名 :パナソニック株式会社

本社所在地 :大阪府門真市大字門真1006番地

設立年月日 :1935年(昭和10年)12月15日

創業年月日 :1918年(大正7年)3月7日

ホームページ:https://www.panasonic.com/jp/home.html

 

人に寄り添った研修を諦めるな!

―今回1か月前にUMUをスピ―ド導入になりましたが、以前からUMUのことは知っていたのでしょうか。最初の出会いについて教えてください。

小野山:初めてUMUに出会ったのは、 2018年5月にサンディエゴで開催されたATD-ICE(Association for Talent Development -International Conference & Development,人材開発分野の世界会議)でした。『学びの場を双方向にする』考え方とそれを実現する具体的な機能に共感しました。他にも似たようなサービスはありましたが、UMUは講演の中で聴衆にアンケートを双方向でその場で実施したので体感として強く印象が残ったのだろうと思います。私自身も社会人の学びのあり方をずっと考えていまして、「インタラクティブ」「パーソナライズ」がキーワードでした。そこに、UMUがピタッとはまりました。

―2018年にUMUと出会ってから、2020年4月の本格導入に至るまで、集合研修で一部UMUを使う試験的な導入をしていたのでしょうか。

小野山:帰国してから、ユームテクノロジージャパンの松田社長から直接個別にご説明いただいたり、UMUのセミナーに参加する形で関係を持ち続けてきましたが、試験導入までは至りませんでした。機会があればUMUを活用したいと考えていたのですが、当時は導入を検討する立場ではなかったからです。しかし、2019年に新入社員研修をどのような形にするか考える立場となりました。2019年の秋の時点では、例年通り集合研修のつもりでしたが、2020年の年明け頃から、集合研修が実施できないのではないかと危惧し始めました。実は、UMUのことは突然思い出しました。関係する部署の責任者が集まり、最終方針を決定しなければならない3月4日のことです。「Web研修でも集合研修の良さを失うことなく、当社らしい人に寄り添った研修は諦めるな」という指示がCHRO(最高人事責任者)からありました。これを聞いた時、相手に応じた柔軟な学びの設計をできるのはUMUだ、と閃いたのです。

―3月4日ですと、新人研修まで1カ月を切っていますが、間に合うかどうかといった不安はなかったのでしょうか。

小野山: UMUを試験導入はしていませんでしたが、機能について理解はしていましたし、「Web研修をしても集合研修の良さを失うことなく、当社らしい人に寄り添った研修をすることは諦めない」気持ちは強くあったといえます。当時の心境を正直に申し上げると、UMU社側から断られるかもしれないといった不安はありました。

赤井:私は2月中旬に社内で信頼しているメンバーからUMUを知りました。チューター向けの研修を1月末から3月上旬にかけて実施する予定でしたが、例年通りにはいかないだろうという方向性となり、新しいやり方の検討をしていたのです。3月5日の最初の打ち合わせ段階では、UMUの操作は何もわからない状態でしたが、UMUの理解が進むにつれて、うまくいくのではないかと思うようになりました。自分自身がチューターを経験していたのでUMUを使った研修のイメージは持てました。何より「人と人を繋ぐ」信念は貫き通すのだ、といった気持ちの方が不安よりも勝っていたと感じます。

 

 

チューターによるオリジナルサポート

―オンライン研修構築に当たってどのような工夫をしましたか。

小野山:2つあります。1つ目はインタラクティブ性。双方向の緊張感、臨場感を維持したいと考えて、通常行っている朝会、夕会をWeb上でも実施しました。2つ目は、オンラインだからこそできることを重視しました。事務局との距離を近くに感じてもらうために、事務局から動画を送るなど、集合研修ではできないことを行いました。また、一方的な発信を行うだけでなく、アンケート・コメント機能を使用して、新入社員の意見に目を通して、フィードバックを送りました。このような取り組みで、新入社員を孤立させないことを意識しました。

赤井:チューターには「10日間新入社員を見守って、スタートをうまく切れるようにサポートをして欲しい」とお願いしました。新入社員の書き込みにチューターからフィードバックのコメントを送る形式としました。テクニカルな知識がなくても、UMUは簡単に操作ができます。これらのUMU機能は使い勝手がよかったといえます。

―チューターはUMUに戸惑うことはなかったのでしょうか。

赤井:事前にUMUを知っている人は1人だけでしたので、ほぼ全員がUMUの勉強を1から開始した状況でした。当然、不安な中で4月1日を迎えたといえます。クラスごとに実施する朝会で、最初は新入社員の反応が少なく、チューターも戸惑っていました。ですが、新入社員もチューターもすぐに慣れて、内容も日々アップグレードされていました。直前でもプログラムを変更しやすいのがUMUのいいところだと感じました。これが集合研修だと事前の準備が必要になります。手軽に内容を構築できるため、チューターの創意工夫で懇親会を実施したり、工場や構内を巡ったり、職場の朝会の様子を配信するといった様々な取り組みが見られました。チューターの上司を巻き込んでコンテンツを作成している人もいました。今後職場で上司とどう接するかという講義で、理想の自己紹介の方法を学ぶ内容でした。

―チューターがオリジナルで内容を構築するとはユニークです。以前からの取り組みなのでしょうか。

赤井:チューターオリジナル講義は例年実施しています。全てオリジナルで任せてしまうとチューターが不安を感じてしまうので、「最低限これをやってください」と基本ルールの案内はしています。新入社員に何をしてあげたらいいのかという姿勢で各チューターが様々なことを考え、講義する場所も様々だったからこそ、例年よりもさらにオリジナルな内容となりました。今回はUMUで各チューターの創意工夫力が発揮され、バリエーション豊かなコンテンツを作成することができたといえます。

 

 【1日のコースイメージ】       【各チューターオリジナルの理念講義】

 

チームビルディングが予想以上

―意外にうまくいったことなどありますか。

赤井:導入教育最初の2日程はテクニカルな問い合わせもありましたが、その後は問い合わせもトラブルもありませんでした。UMUにログインすれば、その日何をすればいいのかがわかり、新入社員が困らない設計ができました。受講の中身全てをUMUで完結できるため、新入社員にとってもわかりやすかったようです。また、リアルよりも新入社員同士の相互コメント・フィードバックが想定以上に活発でした。日々の朝会担当者の所感に対し、夕会までにクラス内の他の新入社員がコメントを書きますが、今までの集合研修では、時間の制約上チューターがフィードバックして終わりでした。一方、UMUではフィードバックに対する返信なども行われ、双方向のやりとりが活発でした。

小野山:新入社員がデジタルへの対応ができるか一番心配していましたが、すぐに慣れていました。学び合いや繋がりが私達の想定以上に実現できたのです。集合研修は個別の質問を拾うことができませんが、今回UMUを使用することで新入社員のコメントや質問が活発になり、事務局が質問への対応を行うことができました。質問した人だけでなく、全員が回答を見ることができるため、お互い学びあうことができたといえます。また、研修後半は予想以上にチームビルディングがうまくいきました。更にWebでしか実現できない大規模な交流も生放送で実施できました。

―オンライン研修にすることで、今までやりたいけどできなかったことができたということですね。チューター同士の情報共有方法は変わりましたか。

赤井:チューターがオリジナルで用意したコンテンツも投稿しやすく、共有しやすかったといえます。チューター同士の交流も活発でした。Web会議や、メールなどで情報共有はしていました。共同で講義を実施することもあり、チューター同士の連携でお互い刺激し合っていました。

―予想以上にうまくいったことが多かったとのことですが、反対に意外とうまくいかなかったことはありましたか?

赤井:昨年度までは全員大阪に集合していたので1000名以上という人数の規模感をその場で感じ取ることはできなかったのは残念です。これは致し方ないことですが。また、想定内のことなのですが一人一人への声かけは、リアルの方がしやすいと思いました。

 

新入社員から多くの感謝コメント

―全体を振り返ってみてどのような感想を持ちましたか。

小野山:新入社員が不安に感じることを想定しながらタイムリーに情報を流すことで、期待値を超えるアクティビティを提供できたと思います。各チューターの創意工夫でいい研修を実施できました。事務局としてチューターの皆さんに対して本当に感謝しています。全員の、この10日間をいい体験にしたいという思いが結集していたからこそうまく行ったと思います。

赤井:新入社員からこんなに感謝されたのは初めてでした。今回の導入教育実施に向けて最善を尽くしましたし、UMUのプラットフォームでいい研修を実現できたからこその結果だと思います。

小野山:新入社員のコメントでは、「資料送付のみではなく、手厚く丁寧な研修を実施してくれたパナソニックに入ってよかった」というコメントがいくつもありました。対面では、こういったコメントをもらうことはありません。このような新入社員のコメントを受け取ったのは初めてであり、UMUのおかげだと思っています。

―今後、UMUに期待したいこと、あるいは次に挑戦したいことは何でしょうか。

小野山:今年実施してみて、もう一歩先までできる実感を得ました。今後UMUを活用する際には、1,2日はアクセスサポートをメインにしてもらって、その後は学びの質を高めるためのサポートにシフトしてもらうのがいいのではないかと感じます。例えば、「いいね」の数が少ない講座を洗い出して講座の改善をするなど、走りながらでも改善できたのではないかと思います。学び環境を構築しながら途中でも分析し、同時に質を高める、これが次の挑戦です。

 

【インタビューを終えて】

本プロジェクトで最も刺激的かつ感銘を受けたのがパナソニック様の人に向き合う姿勢でした。テクノロジーを活用してもその中心に常に人がいるのだとする考え、「人に寄り添う研修を諦めない」信念を持つことの大切さを改めて感じました。チューターの皆さんによる個性豊かなプログラムは、UMUによってその多様性が横連携を強化し、新人をも巻き込んだ形で共有されることで、予測以上のアクティビティにつながりました。人材の多様性×テクノロジーのシナジーを目の当たりにしたように感じます。コメント欄に溢れた新人の皆さんからの感謝の言葉は次のプロジェクトへのエンジンになったようです。もう一段上を目指した質の高い学びの場づくりへの挑戦を私達も全力で支えていきたいと思います。

(インタビュア:小仁聡・木村麻鈴/構成・編集:石川慶子)

 

 

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